空振津波?
日本時間の1月15日(土)午後1時頃に、トンガ沖で海底火山の大噴火がありました。
この火山島は西暦200年頃や1100年にも大噴火があり約1000年置きに発生しているとの事です。
トンガには津波が押し寄せ、その被害状況については通信インフラが分断されているため把握されていませんが、亡くなった方がいないことを心より願うと共に、被害を受けられた方々に謹んでお見舞いを申し上げます。
この噴火の影響で、約10~11時間後に日本の太平洋側や奄美群島、トカラ列島で潮位の上昇が発生しました。
気象庁は津波警報や津波注意報を発表しましたが、トンガから日本までは8,000㎞離れているため、この現象は本来の「津波」の定義(海底の急激な地形の変化により海面が盛り上がる)には当てはまらず、「空振(くうしん)」によるものではないかと専門家の方々が議論しています。
「空振」とは、火山の噴火や核実験などに伴って発生する空気中を伝わる空気振動で圧力波の一種とされていますが、今回は空振によって廻りの海面が押し下げられた後にその反動で海面が盛り上がったことで波を形成。その波が長い距離を渡る中で増幅されて日本に届いたみたいです。
今回の日本で起きた潮位上昇を「津波」と呼ぶか呼ばないかは専門家の見解にお任せしますが、これにより保険の対象が被害を被ったとしても火災保険では補償されません。地震・噴火またはこれらによる津波(以下「地震等」という)を原因とする損害・埋没・流失による損害ならびに地震等による火災の損害はもちろん、火元の発生原因を問わず地震等で延焼・拡大した損害については免責となっているため、空振による津波のような現象により被害が発生した場合においてもこの免責事由に該当することになります。
よって、住宅物件(建物・家財)の場合「地震保険」の契約を交わしていれば「全損」「大半損」「小半損」「一部損」「無責」の五段階での判定に基づき損害保険金が決定されます。
ちなみに「津波」と似た現象に「高潮(たかしお)」があります。昭和34(1959年)9月に発生した伊勢湾台風においては死者・行方不明者が約5,000人にも及んだ未曾有の大災害となりましたが、7割は高潮による被害といわれています。比較的最近では平成11年(1999年)の台風18号において、熊本県不知火町で高さ5.5mの防潮堤を超える高潮により12人の方が亡くなられています。
「高潮」は台風や発達した低気圧が関係する気圧低下による海水の吸い上げ効果・強い暴風による海水の吹き寄せ・大潮での満潮時等の条件が重なることで、海岸や沿岸から陸地へ海水が浸入する現象を指します。
「高潮」は火災保険における「水災」に該当するため、「水災」が補償される契約になっていることが必要です。余談ですが、大雨や集中豪雨によって発生した土砂崩れによる被害や土石流による被害も「水災」に該当します。「水災」の補償内容や規定については火災保険商品によって違いがあるため、これについては話のネタとして次の機会に残しておくことにします。