損害鑑定について

「保険の対象における損害額鑑定」が損害鑑定のメインとなります。
補足すれば、保険の対象が災害・事故によって損害を被った時に、保険約款に従って、損害額ならびに付随する各種費用を鑑定する。ということです。その場合においては、必要とする修復方法・修復範囲・交換必要品目&数量・作業行程&工数・各種単価・経費等を十分に考察し、提出されている修理見積書等がある時は復旧内容・金額が適正と判断できるか否かを思料しながら、委嘱先である損害保険会社へ適正・妥当と考察した鑑定額についてのレポートを提出します。保険の対象には、火災保険分野における「建物」「家財」「機械装置」「営業用什器備品」「屋外設備」「製品・半製品・仕掛品・原材料」「商品」を始め、新種保険分野においては、機械保険における「特定機械」、動産総合保険における「特定動産」、建設工事保険・土木保険・組立保険における「工事対象物」等があります。

保険契約上において、保険の対象には必ず保険金額が設定されていますが、保険の対象についての評価額(これを保険価額と呼びます)以上に保険金額が設定されている場合が希にあります。その場合超えている分は無効となるため、保険の対象が全損・全焼となっても保険金額満額が支払われず、保険価額を限度とする補償額となります。 したがって、全損・全焼の損害においては保険価額の鑑定が重要となります。

次に、保険金が支払われる災害・事故の種類を並べてみると、「火災」「破裂・爆発」「落雷」「風災」「雪災」「雹災」「水災」「給排水設備事故による水ぬれ」「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突」「盗難」「電気的事故」「機械的事故」「不測且つ突発的な事故」等があります。保険種目や契約内容によって、保険金が支払われる災害・事故の種類が限定され、更に免責金額が設定されていることがあります。

「風災」「雪災」「雹災」「水災」は自然災害として分類することができますが、特に台風や爆弾低気圧による暴風雨、竜巻、豪雪、集中豪雨等による洪水、河川の氾濫は広範囲に渡って大規模な災害を生じさせることが多々あります。更に地震や津波による建物・家財の損害補償は「地震保険」の分野になりますが、大地震となればこれまた広域的に甚大な被害が発生するため、このような広域的災害が発生した時は損害保険会社からの要請の元、被災地の拠点に赴き、数ヶ月間現地に張り付いて損害鑑定を行います。 ちなみにこの仕事を地元北陸三県内において通常行っている一般的な損害鑑定と区別して「広域自然災害鑑定業務」もしくは「大規模自然災害鑑定業務」と呼んだりしています。

上記以外では賠償責任保険分野における被害物(財物全般 ただし自動車・船舶・航空機を除く)の損害額鑑定を行っています。

損害保険会社が損害保険登録鑑定事務所へ損害額鑑定を依頼するのには大きな理由があります。それはひとえに、損害保険会社は被保険者に対して保険の対象が災害・事故により損害を被った時には「適正・妥当な保険金の支払」「親切且つ迅速な保険金の支払」を行う使命・責務があり、スムーズに保険金の支払を行うためには、中立・公平な立場から示される損害額に対する専門的見解を十分に参考にした上で補償額の決定をしているからです。 私共はその役割におけるプロとして仕事を行っています。

損害保険の社会における重要性は、昨今の異常気象がもたらす災害の多発によって年々高まってきており、損害保険事業の一翼を担う損害保険登録鑑定人の果たすべき役割も益々重要になってきています。